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此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。

   
人間恐怖症
人間恐怖症




本当は太陽がもっと沈んで
空が紫色に変わり
滲むような夕焼けが見られるまで
もう少し待っていたかった

私さえも静寂に飲み込まれそうなほど
太陽と雲が少しずつ呼吸を整えて
ぴたりと息が合うまで
もう少しじっと待っていたかった

コツコツと近付いてくる足音
立体駐車場のコンクリートに響く
見知らぬ人の視線が突き刺さる
背中を捕らえられて一瞬息が止まる

居ても立ってもいられず
加速する鼓動を押え付けるように
思い違いだと繰り返し唱え
その場所から逃げるしかなくて


時折り意味もなく沸き起こる
心を拘束し襲う
誰も知らないこの不安と恐怖
取り除く術(すべ)を誰か教えて

人と話すことが怖いわけじゃない
人前で何かをすることが怖いわけじゃない
緊張が怖いわけじゃない
一人(孤独)が怖いわけじゃない

私は人間が怖いのです
私は人間恐怖症なのです

美しい夕焼けにさえも
心を開放することができない
姿の見えない魔に囚われている
私は人間恐怖症なのです







DSCN8477_convert_20080803103226.jpg
TITLE:夕焼けを待たずに…






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