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此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。

   
取るに足らない誇り
取るに足らない誇り




子供の頃、友人の家へ遊びに行くと、お昼には決まってその家の親は、「何もないけど一緒にご飯を食べて行きなさい。」と食事に誘ってくれました。一緒に遊びに来ていた他の子は昼食は勿論のこと、その後も一緒に遊び続けて、夕食まで頂くこともあったようです。

私はと言うと、親戚と言えども其処の家の食事に肖るということはありませんでした。なぜならそれは私にとって、と言うより私が受けた我が家の教育方針が、他所の家庭の食事に肖ることは施しを受けることであり、施しを受けることは恥であるという教育だったからです。

他所の家の食事を食べると言うことは、食べ物を恵んで貰うということに変わりなく、それはみっともなくて恥ずかしいことで、家族や家系に泥を塗り、祖父や父のプライドを傷つける行為に他ならなかったのです。それほど私の親家族は人の世話になることを尽く嫌っていました。

他所で一緒に遊んでいた友人達が、そのお宅でお昼ご飯を食べている間、私は一人だけ自分の家にわざわざ戻って食事を済ませ、再び足を運びました。戻って食事が出来ないような遠い場所の時は、一人だけ午前中で遊ぶのをやめて、友人と別れて帰宅するのでした。

今思うと、その頃から私は、本来経験すべき子供の世界や人間関係を築くチャンスを奪われ、子供なのに大人の環境に縛り付けられて行動範囲を制限され、結局は行動をコントロールされて、『子供』を体験する事を許されなかったのです。

大人にとって都合のいい子に着々と育て上げられていた訳です。人の世話になる事は恥ずかしいことなんだとすり込まれ、苦しくても苦しいと言えず、辛くても辛いと言えず、助けが欲しくても助けてと言えない、終いには自分から人の情を拒絶するようになってしまったのです。人に弱さを晒す事が屈辱と感じるようになってしまいました。

全くもって、大人になって世の中を渡って生きていくには、絡みづらく可愛気のない人間です。男性からみたら、女としては最悪でしょう。

厄介なのが、そういう人間であるが故か、自分より年上の男性に甘えられる事が許せません。出来るであろうことが出来なかったり、子供じみていたり、甘えてくる男性が許せません。時々、男性に甘えられると母性本能を擽られ嬉しいとか、大人の男性の中に見える少年の部分が魅力的だという女性がいますが、私はありえません。

ただ、兄弟の一番上で育ったせいか、男女問わず年下に対しては、守らなければいけないという使命感と責任のようなものを無意識に抱いてしまいます。なのに、年上の男性に甘えられるととても不快なのです。(正直に言うならムカついてヘドが出ると言ったところでしょうか。)

それほど、自分の全てをいつ何時も安心して委ねられる相手しか認められないし、信用できなくなってしまっています。根底は大人を信じられない人間不信なのでしょう。

それでも最近はそのような男女関係に身を置くこともあまりなくなったこと、私自身も人生経験を積むにつれ、自分の意思表示が出来る神経の太さも徐々に持ち合わすようになってきたようで、多少は人間に馴染んできたかなと感じています。

どんな家族にもきっと様々なその家族だけのルールがあると思います。今ふと思い出しても、子供教育にも家族間の愛情にも何のメリットもない、ただ大人のエゴに重きを置いた、随分と理不尽なルールで縛られていたものだと思います。






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TITLE:見守る?見張る?



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