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此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。

   
Mustとトウモロコシ
Mustとトウモロコシ

must《義務・必要・強制》…ねばならない,すべきである,する必要がある

ここは現実世界で関わっている人間関係には明かせない心の内から生まれた、『雫』と言うもうひとりの住処です。現実世界の人達には、ここを知られると関係が壊れかねないことと、大切な人達にまで悪影響を及ぼしかねないので、雫はこの場所をカミングアウトすることはできません。

ある時、特に深く考えずブログを始めました。更新しながら時々直面する非公開を強いられる感情、文字を綴ることで呼び起こされてしまった心の葛藤を何とかするために、考え巡らした結果、行き詰った心は『雫』として生まれ、ここに逃げ込む場所を作りました。膨れ上がる、やり場のない闇を抱え、正気を保つにはこうするしかなかったのでした。

切迫した心は何かに脅迫されるかのように罪悪感に駆られ、不必要な負荷を自分に掛けてしまうようです。実際、今でこそこの場所ではかなりスローな更新ですが、この場所を作るまでは表と裏の狭間で毎日のように文字が綴られていました。雫は毎日更新しなければいけないという負荷をいつの間にか掛けていたのでした。

例えば、休みにも関わらず、用事があるなしに関わらず、朝起きると、というか既に目が覚めた時点で、起きなければいけないと言う義務感に駆られる、そんな状況です。○時迄には洗濯して掃除して…、心のどこかでは「何時だっていいじゃない」「今日サボったっていいじゃない」と思ってるのに、「生活のリズムを崩してはいけない…」と別の自分が自分の心を縛っている。寝坊したからといって誰かが責める訳でもないのに…です。

命に関わるとか、今しかないとか本当に選択の余地がない事柄ならともかく、傍から見たらどうでもいいことでも、「私は…しなければいけない」と言う『must』の思念を生み、無自覚の内に己を縛り付けてしまうのです。勝手に罪悪感に駆られているのです。馬鹿みたいです。でもやってしまう、やらずにいられないのです。

ブログも、今は、昔に比べたら物事に対して随分緩く対応できるようになりましたが、かつては違いました。ブログを始めて良いことが沢山できて、今更ながら感謝と言う気持ちを知って、良い事ずくめだと思っていました。しかしながら、ふと気がついたら妙な義務を自分に科していました。写真を撮らなければ…、絵を描かなければ…、更新しなければ…。

表ブログなら、何事においても『継続は力なり』と言う言葉も当て嵌まりますが、こんな裏ブログに関しては、毎日の更新に何の意味がありましょう。なのに縛られ、あることに直面し、どんどん引き返せない別の方向に嵌りました。そして越えなくてもよい山道を選択せざるを得なくなり、わざわざ入り込む。裏ブログにまさかこんな落とし穴があろうとは。

気付かなければ気付かないで、そのまま人生を送る方が、もしかしたら世間一般の考えから察するに幸せだったかもしれないと雫は思いました。そう思う傍ら、知ってしまった自分は知らなかった自分を幸せだと思えないのでした。身体に組み込まれてしまった、ずれた価値観によるものなのでしょうか。どちらにせよ雫は後戻りはできないと覚悟を決めました。


価値観と言えば、長い余談ですが…ふと、雫のとうもろこしの食べ方の話を。

雫は普段、茹でたトウモロコシを食べる時、粒の列を崩さないように綺麗に繋げたまま、一列ずつ剥がして食べていました。雫の家族も大抵そうでした。ぐしゃぐしゃに食べるのを雫の両親はとても嫌い、雫もいつの間にか、かぶりつく食べ方は行儀が悪いと思うようになって、その食べ方を軽蔑するようになりました。

雫は自分の食べ方は一般的で、そんなに珍しい事ではないと思っていたけれど、それはどうも違っていたようです。世の中の人は大抵ぐしゃぐしゃにかじりつくらしいのでした。

それを知ってから、雫はいつもの食べ方は人前ではやらないことにしました。直接かじりつくようになったけれど、芯に実が残らないように食べてしまいます。「美味しかったね」と、取り敢えず顔では笑うけれど、他人のぐしゃぐしゃの食べ方もその食べガラもいつ見ても気持ち悪く感じました。

雫は粒をいくつ繋げられるか、上手にほぐしながら食べるのが楽しくて、ちょっと得意だったりもしました。けれど、世間には、それを見て「とうもろこしが不味そう」と思う人が多くいたようです。それを指摘された時、自分の価値観の基準は人とずれていると感じました。人の価値観の基準は明らかに「やっぱりがぶっとかじりつくのが美味しいよね~」だったのでした。

つまらない事ですが、小さな幸せが否定された気がして、ショックを受けました。そんなことなら習慣化する前に知りたかったと雫は思いました。それは育った家庭環境という小さな世界で、楽しいものとしてインプットされてしまった、間違ったプログラムなのです。決して個性などと言う高尚なものではない。

そんな取るに足らないつまらないミスプログラムが積み重なって、やがて人格そのものを世の中に不適合なものへと変えていきます。つまりそれが『月夜の秘密基地』に隠れ住む雫なのです。

でも、繋げて外したとうもろこしの粒を、棒グラフみたいに並べると楽しいと感じたのは事実です。その部分だけは想い出を切り取って、雫は心の中に大切に仕舞い込みました。それは『生』にしがみ付くために雫が咄嗟に拾い上げた、生きていた証だったのでしょう。しかし雫はそのことと一緒に家族の愛情を拾うことはなかったようです。






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TITLE:トウモロコシタワー




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