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此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。

   
偶然に意味はあるか(1)

偶然に意味はあるか(1)


雫が今の仕事に就いて、彼是10数年経つが、彼女はつい最近知ったことがある。
長い10年もの間、四六時中顔を突き合わせていた経営者(女の旧姓が、そうそうありえない雫の母の苗字と同じだということだった。
それも本人の口から聞いたわけでなく、たまたまその経営者不在の場で、たまたま居合わせた経営者の知人からという経路でだった。
勿論その知人と雫は出身地も育った場所も職種も違う。
経営者(彼女)とは、可能な限り遡って先祖を辿っても、全く親戚関係はない。
雫にとっては人生でベスト3に入れてもよいくらい、不思議な偶然に思えた。


今のこの仕事は、上下関係を超えたところで腐れ縁的に携わることになった仕事で、有る意味それは見えない赤い糸かもなどとロマンティックな妄想さえ巡らした。
雫の中では、彼女(経営者)と自分の間にこのような特別な繋がりを見出したことは、信頼関係を深めるに十分な要素を含んでいた。
第三者からすれば、そこまでミステリーなことかと一笑に付されるかもしれないが、18歳で見ず知らずの土地で頼るものもなく生活を始めた雫にとっては、大きな支えとなる糸を見出したに等しいのである。


さらにそのような運命的なものを感じた理由は、その経営者(彼女)が性格的にこの仕事に向いているとは到底思えないからだった。
喜怒哀楽の表現が豊かでそういうものに対する反応も激しく、人間臭くなければできないような職なのに、彼女は人の情にとても冷めていて、割り切りがよかった。
つまり人間への対応が非情に事務的なのだった。
そしてプライベートでは徹底して、外部とは必要以上の接触をしなかった。


(続く…)



TITLE:一期一会の光

 

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