此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。
共生(1)
共生(1)
深層で燻る得体の知れないモノ、その存在が有なのか無なのかも分からず、
雫は自身の中で同化し溜まったそのモノに蓋をして生きてきた。
苦しさや辛さに直面すれば、それは甘えで取るに足らない小さなことなのだと自分を騙し、
非とされる悪い感情に囚われる度、自分の弱さ故と自己嫌悪に陥り、
自分の存在を肯定することが出来ずに生きてきた。
雫はねっとりと纏わり付くような生き辛さと共生していた。
ある時、自分が機能不全家庭で育ったACと言う状態なのだということを知った。
同じACの悩みと向かい合っている四角い画面の向うのネット世界の人々の情報から、
過去を書き出すと言う方法でこの苦しみから逃れられる可能性があることを知った。
これまで雫を苦しめ続けている得体の知れないそれらの正体を暴き出し処理することで、
原因の分からない生き辛さから脱出できるかも知れないと知った。
希望を見出したのだった。
雫は自分自身の生き辛さに潜む魔物に挑むべく戦いの場所として、ここに秘密基地を作った。
そうは言うものの初めは意気込みも表面的で自身もそれほど深刻にのめり込む事はなく、
その安易な気持ちの根拠は成果に対する猜疑心であったろう。
そんな疑心暗鬼の状態で、雫は手始めに記憶の掘り起こしに取り掛かった。
雫の記憶は何故か虫食いのように、と言うより、殆ど虫に食われてしまった葉のように、
葉脈すら消滅した葉のように欠落していた。
その欠落した幼少期や少女期の過去の記憶を掘り起こす作業に、
雫は僅かずつ空いた時間を費やし向かい合った。
日を重ね作業を重ねていくうちに、何かに取り憑かれたように可能な限りの時間を費やすようになっていた。
書き出すにつれ、忘却の記憶は網に引っ掛かった獲物のように次から次とその姿を現した。
忘却というより、それらは封印していたもの…。
それらは恰も涙というものに姿を変えて、目という網目から、
暗闇から開放してくれと言わんばかりに、這い出してくるかのようだった。
…(2)に続きます。
TITLE:共生
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深層で燻る得体の知れないモノ、その存在が有なのか無なのかも分からず、
雫は自身の中で同化し溜まったそのモノに蓋をして生きてきた。
苦しさや辛さに直面すれば、それは甘えで取るに足らない小さなことなのだと自分を騙し、
非とされる悪い感情に囚われる度、自分の弱さ故と自己嫌悪に陥り、
自分の存在を肯定することが出来ずに生きてきた。
雫はねっとりと纏わり付くような生き辛さと共生していた。
ある時、自分が機能不全家庭で育ったACと言う状態なのだということを知った。
同じACの悩みと向かい合っている四角い画面の向うのネット世界の人々の情報から、
過去を書き出すと言う方法でこの苦しみから逃れられる可能性があることを知った。
これまで雫を苦しめ続けている得体の知れないそれらの正体を暴き出し処理することで、
原因の分からない生き辛さから脱出できるかも知れないと知った。
希望を見出したのだった。
雫は自分自身の生き辛さに潜む魔物に挑むべく戦いの場所として、ここに秘密基地を作った。
そうは言うものの初めは意気込みも表面的で自身もそれほど深刻にのめり込む事はなく、
その安易な気持ちの根拠は成果に対する猜疑心であったろう。
そんな疑心暗鬼の状態で、雫は手始めに記憶の掘り起こしに取り掛かった。
雫の記憶は何故か虫食いのように、と言うより、殆ど虫に食われてしまった葉のように、
葉脈すら消滅した葉のように欠落していた。
その欠落した幼少期や少女期の過去の記憶を掘り起こす作業に、
雫は僅かずつ空いた時間を費やし向かい合った。
日を重ね作業を重ねていくうちに、何かに取り憑かれたように可能な限りの時間を費やすようになっていた。
書き出すにつれ、忘却の記憶は網に引っ掛かった獲物のように次から次とその姿を現した。
忘却というより、それらは封印していたもの…。
それらは恰も涙というものに姿を変えて、目という網目から、
暗闇から開放してくれと言わんばかりに、這い出してくるかのようだった。
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