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此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。

   
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共生(2)
共生(2)



雫は泣くことに対して、強い敗北の念を持っていた。
子どもの頃から滅多なことでは泣かない子だった。
しかしこの作業に取り掛かってからは、過去の出来事を思い出す度に(封印したものを掘り起こす度に)、
胸が苦しくなり、涙が否応無しに込み上げてその頬を伝った。
涙が零れたからと言って、声を出して泣くことが出来た分けではない。
そこには思い切り泣くことは出来ない雫が相変わらず存在していたが、
その涙が流れるという自分自身の感情に驚く雫が存在し、
またそんな自分が雫にはとても新鮮だった。

ふと気付くといつしかそこには、
あの機能不全家族が営む歪んだ時間の中に放り込まれた子どもの自分を、
まるで母親のように慰める雫がいた。
子どもらしさを奪われ失い、暗闇の中で小さく蹲っていた子どもの自分を、
そっと抱きしめるような感情と眼差しで包み、彼女の生きた時間と彼女自身を慰める雫がいた。

一番近くにいるにも拘わらず、本来一番自分自身を認めて欲しかった人には、
褒められる事も認められることなく過ごし、女である価値さえ否定された子供の頃の自分を、
「よく頑張ったね」と、今の大人になった自分が代わりに褒めてあげたのだった。
それは『過去の幼い自分の存在を認める』というプロセスだった。

吐き出すことの出来ないトラウマはまだまだ雫の中に燻っている。
雫は全てを処理しきった分けではない。
だが、雫はそれを抱えていることが以前ほど苦痛ではなくなっていた。
焦らずに向かい合うことが出来、今は共存と言う方法で折り合いをつけている状態に思える。

雫はそれらをいつか全て吐き出すことができるのかもしれない。
もしかしたら今後様々な人生模様に染まるうちに、
吐き出すことはそれほど重要ではなくなるかもしれない。
ただ、焦らずに付き合っていける、穏やかな気持ちで向かい合っていける、
そんな心境になったことは確かだった。

最近、些細な細波のような心動とも言うべき揺れを、
詩や絵で綴ることでやり過ごすことが出来ているのは、
雫がそういう状況にあるからだと思う。






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TITLE:共生




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