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此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。

   
水無月の記憶
水無月の記憶



誰もいないがらんとした奥の部屋で 
誰もが脳に組み込まれている筈の 
思考とは切り離された動作を 
私は一つ一つ強いられて繰り返す 

辛さから逃れる方法をもがきながら探した 
圧し掛かるような苦しみを逃す方法を探した 
窓辺にもたれる… 
そんな簡単な事に頼らなければならない 
出来損ないの体が情けなかった 

塞がれたように細い気道とそれを拒む酸素 
思うようにならない身体が疎ましかった 
誰でも当たり前の呼吸するということ 
そんな簡単なことに苦戦する自分が疎ましかった 

私が産んでって頼んだわけじゃないと 
悔やんだって後戻りできる訳じゃないけれど 
あなたの重荷になる私の存在を 
あなたの歪んだ顔は声すら消えた沈黙の裏で責める 
まるで生まれた私が悪いと… 

自分の中の気道を窮屈に震わす 
勝手迷惑な雑音に聞き耳を立てて夜に彷徨う 
眠りを奪われるのはいつものことで 
引き換えに笑えるほど想像力は豊かになった 

そう、私は私を薄命のヒロインに重ねて 
オルゴールのように奏でる水無月の雨を見ていた 
この身を侵食し脆さを小突き続けるように 
雨足を強める水無月の雨を見ていた 
この存在が呑み込まれ 
やがて音の中に意識が消滅していくのを願って 

毎日馬鹿の一つ覚えのように繰り返し願う 
どうか今日は眠れる夜でありますように 
どうか雨音が子守唄になりますように 
夜明けが動き出せば拭えない不安に囚われ 
夕暮れに追われて迷い込む夜を恐れる 

叶わないと分かっているつまらない願いを抱く 
このまま夜明けが来なければいいなって 
いっそこのまま朝が来なければいいなって 
ガラスに映る私を連れて空想に逃避行する 

水無月の記憶は雨とガラスに映るモノクロの私 





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TITLE:水無月の記憶





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