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此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。

   
葬式(3)

 

葬式(3)

 


 

何もかもが容易にできるほど金銭的な余裕があるなら、送る者たち(遺族とは限らない)は気の済むようにすればいいだろう。
しかし、そうなるとそこには、送られる私の意思など何も存在しない。

そこにあるものは、故人のためという恩着せがましい大義と、送る者の自己満足ということになる。

が、『世の中』の普通をすることが一番面倒臭くないのかもしれない。

一昨日、この話の中心人物は、医者の宣告通りこの世を去った。
実の兄弟姉妹によって葬式も世間並みに行われた。

故人が生前に生活を共にしていた最愛の人は、愛しい人と引き離された。
再婚した時から入院中も、まともに顔を出さなかった兄弟姉妹にだ。

「葬式も出さないあなたに、遺骨は渡せない。」
それが理由だった。

生前愛し合って喜びに満ちた日々を送っていた二人は、葬式というセレモニーが原因で引き離された。

故人はどうあることを望んでいたのだろう?


続く…





TITLE:ふたり



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