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此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。

   
『月の雫』の成分(1)
『月の雫』に影響を与えた祖父の存在(8-1)
(『月の雫』以後、雫と省略)


雫の祖父は、大酒呑みの父親(酒で家を潰した)の代わりに、14歳だったか13歳で、サハリンへ渡る船の人夫として働き家を支えた。
 ※サハリン:旧樺太(からふと)
 ※人夫(にんぷ):力仕事に従事した労働者の旧称

祖父は青年時代に海兵隊も経験した。
船の上の閉ざされた世界で祖父は様々な生活能力を身に付けた。
料理もするしセーターの綻びも編み針で器用に繕う。
モノを購入する時代ではなかったから、基本、自分で何でも作る。

一人前になってからは今の場所(雫の実家)に住み、少しずつ土地を開拓し所有していった。
知識や教養も豊富で、世の中の事に疎い村民の交渉事や相談にも乗っていた。
村民の先頭に立ち、市長に掛け合って村に新しい道路を引いたり、舗装整備したり、バスを増やしたりと、祖父の働きは随分と村の生活水準向上に貢献したようだ。
農業の歴史を凝縮した模型作品(作業する人や縮寸の道具(手作り)を並べたもの)を、市の郷土資料館に寄贈したり、子供のための地域活動には特に積極的に参加した。

祖父の学歴は、中学卒業程度だと思うが、祖父自身は非常に勉学熱心で、様々なことを新聞や本から独学で学んだようである。
年老いてからも学習意欲は旺盛で、大学の特別カリキュラムなる『老人大学』(おそらく戦争や生活苦など不安定な時代に生き、何らかの事情で学習の機会を奪われた人たちのために開設されたものだと思う)にも参加していた。

漢字の読み書きに関しては、辞書を引くのを面倒がった雫の問いに100パーセント答えることができた。
斬新なアイデアや目新しい事を躊躇なく受け入れる寛大さも、あの時代の人にありながら、偏見的でない祖父のすばらしいところだ。

雫を幼い頃から良く面倒をみていた祖父だが、周りの同年代や他人からは、真面目で堅物で融通がきかない、ともすれば偏屈な頑固ジジイの印象を持たれてもいたようだ。

雫にとって祖父は、雫の欲する能力を備え、あらゆることに長けた、尊敬すべきスーパー老人だった。
しかし、そんな尊敬すべき祖父に対して、雫にはひとつだけどうしても受け入れられない祖父の思想があった。




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TITLE:木漏れ日





(続く)



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