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此処は、人の道の迷子になってしまった『月の雫』が蹲っている場所です。 『月の雫』の心の葛藤の物語と詩を、絵と写真を添えて綴っています。

   
道~迎えにいくから



ふと立ち止まったその先
凝らした目に翳ろう無形の未来…

それほど多くは残っていない
重なるように描かれた線画に
無数の色を次々と搾り出す

どんな種を植えた?
ひとつ残らず花は咲いたか?

あの時捨てた残骸から
最後の為の濁色を掬うように

今はタイムロスだと言われようと
戻ってあげるからね
私は少しやさしくなったから

無い物強請りばかりの欲求で
声無き叫びに喉がカラカラで
涙を持たないあの頃の私を

忘れてないよ
ちゃんと迎えに行くから







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TITLE:道~迎えにいくからね







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月明かりをください





月明かりをください

少しやさしくなりたいから

今夜はあなたのための

私でいたいから






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TITLE:月明かりをください




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かくれんぼ




もういいかい?の声が聞こえない
だから
まあだだよ、って言えない

もういいかい?の声が聞こえない
だから
もういいよ、って言えない

息を潜めて見つからないように
私は隠れるのが上手だから

私は空気になってしまった

誰か私を見つけてよ







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TITLE: もういいかい?






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揺らぐ光



水の上の光は眩い
立てないその場所は切ない

羨望…願望…希望…
水面に揺らぐ光に似てる
儚さに満ちた夢のよう

魂に回帰しない無力ばかり
抜け殻から流れ出す

雪はとけて水になり
川に流れ込む

ねえ…
私はどこへ流れればいいの?







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TITLE: 揺らぐ光







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酸素と結びつく



意志とは無関係に外の世界に引き摺り出され
溢れ出した憂鬱が逃げ場を失くす
年を重ねるごとに世渡り上手になるどころか
最近は自分でも呆れるほど不器用になっていく

秒針に刻まれて積もっていく時間が
べったり湿った霙雪のように重たくて
身支度を始める頃には
粘性の高い重金属のように
圧し掛かっているに違いない
私の身の丈なんかあっという間に埋もれる

酸素チューブだけは繋げておかなくちゃ
呼吸が浅くてヤバイよ
もがいて深みに嵌ったら…それだけが命綱だから
繋ぎ目を人間不信で埋めたそれだけが頼りだから…

生きるのが下手になっていくのは何故?
生き易い場所に向ってる筈ではなかったの?

チューブから送られる酸素を取り込む
何かと結びついて私を維持してる
どこまでと遠くに行っても軟らかく長く
途切れぬように長く繋げておかなくちゃね

取り敢えず呼吸すればいつもそれと結びついて
悲鳴を上げる心には最低不可欠で
今朝も相変わらず頭を持ち上げられない
背骨の歪んだ『私』がうまれている…







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TITLE: 雨に濡れる




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唯一の約束



もしもあなたが自立していたら
私に何があったとしても
私のことは考えないで下さい

なぜなら
私が生まれてきた目的は
あなたにバトンをつなぐことだから

あなたがそのバトンを受け取ったなら
真っ直ぐに未来を見てください
真っ直ぐに未来へ歩んでください



私が目的を終えたなら
私に何があったとしても
私のことは考えないでください

私のつないだバトンを持って
あなたが
あなたの目的へ歩き出すことが
私の命であり生きた証だから

後ろなど振り返らず
私のことなど考えず
躊躇することなく進みなさい
それが私の存在した理由だから


文明の造ったキレイゴトは要らない
まやかしの生き長らえなど要らないから


もしもあなたが自立していたら
私に何があったとしても
私のことは考えないでください



それが唯一の約束です
私が切望する唯一の約束です




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TITLE:君の後姿を見つめる






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視界で動く無数の生き物は
人に成り損なった哺乳類の顔を模す

無理矢理合成した部品はひしゃげ歪んで
それは人に成り損なった哺乳類の顔を模す

おぞましい欲に塗れた醜悪な生き物たち
それはSF映画に見る1シーンのようでもあり
混在してバーで酒を交わす異星人のようでもあり…

地球上の人間の日常であるはずなのに
彼らはまるで人間の皮を被った地球外生物で
その存在の違和感が私自身の存在を否定する

彼らがさも当たり前の顔で社会生活を送っていることが
私自信の存在を不安にする

人間という生物の
外観の完成形は人間性とその精神に連動し
内面の欠落部分は外見にもその姿を現す

まるで凶悪犯罪を犯した人の顔が
やはり凶悪犯罪者の顔になっているように…

私自身がきちんと人間の形なのか不安になる
欠陥だらけの私の
目はちゃんとした位置についているのか…
この鼻はまともな形なのか…
偏屈な性格が口に表れているのではないか…
この目は人を信用していない疑いだらけの目ではないか…と

周りの人の顔が歪んで映る
そんな風に見えている私の心も歪む
息苦しさに襲われる

見知らぬ国で孤独感に苛まれるとかそんなものとは違う
爬虫類人間や地球外生命体の犇めき合う世界に
独り放り込まれているような得体の知れない恐怖
掴みどころの無い不安で堪らなくなる

人間が怖い理由が
そんな感覚を引き起こして繋がっているのか
心の奥底に息を潜める物言わぬ核に押し込んで
今のところ取り敢えず仮面の儘で…
私は知らぬ顔を決め込む…

気付きたくはなかった
確かにそこにあるトラウマ
私はそれを認めたくないだけ…





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TITLE:人になり損ねた仮面たち






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長い設問の解答




役に立たない才能なら要らない
私の存在理由は何?

老いて行く細胞に脇目も振らず組み込まれていく
ただ無意味な逃れられないオモリ…



上記は前回公開した詩、『やがて無能を思い知る』に隠された長い設問の解答である。
(各分の最初の文字を縦につなげると答えになる)



劣化していく才能

TITLE:劣化していく才能





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やがて無能を思い知る
 

 

病んでいるんだ 
クダラナイ思い込みに固執して 
偽者の衣ばかりを何重にも纏う 

断ち切れぬ遺伝子のトラウマ 
立ち向かう気力は無駄な抵抗という無機能 

難解なパズルで組み上がる要塞 
因果を破壊する武器をくれと叫び 
運命(さだめ)に立ち向かう闘志をくれと叫び 

異質な根源に意味付けを探して 
能書きと言う陳腐な支えに縋(すが)る 

迂回できない工事標識の前に立つ 
薙ぎ倒したその先を歪んだ遠眼鏡で見る 

ラーゲル(捕虜収容所)に投げ入れられた 
生きると言う単純な難題を 
落胆の裏に湧く殺意と戦いながら 
宥(なだ)め賺(すか)し励まし 
今も未来も希望をひとつずつ呑み込むだけ 



僅かに昇華した尊いものさえ 
魂の呼吸を締め付けるように誤変換し 
焦燥に変える機能障害に陥る 

野晒しの案山子に羨望を抱き 
存在理由なんて要らないと誰かに言って欲しいんだ 

『ん』と言う無に近い五十音の最後の文字みたいに 
残骸の中にポツンと在っても 
違和感のないあまりにも遠い記憶 

リズミカルな鼓動に押し出されて 
誘導される束縛に快感すら抱いているに違いない 

膿み疼いて深い傷になっても気付かない 
吐き出せないこびり付きになってやっと気付く 

泣く場所と泣く私は自分で破壊した 
逃げ道も破壊しようか? 




問い;この文章に隠された真意を答えよ。 





 

 

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TITLE:やがて無能を思い知る







 

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『月の雫』に影響を与えた祖父の存在(8-8)
(『月の雫』以後、雫と省略)


雫は単純に考えてACの3代目だと言うことに気付いた。
なのにこんなに理解し難い精神の葛藤を強いられている。
だとしたら、今実際に『親による虐待やアルコール依存症のある機能不全家庭』の、その真っ只中にある人はどうなる?
どうすればいい?

答えは明らかだ。自分の代で連鎖に終止符をうち、連鎖を阻止しすればいい。
しかし、終止符を打つということは、『自殺』『殺人』などという短絡的な解決策に走るという事ではない。
それは『逃避』そして『敗北』という、人として微塵の誇りも残らない、残された者に自責の念ばかりを押し付ける無責任な解決策だ。
その安易な解決策は一見悪循環を断ち切ったように見えるかもしれないが、何の力も生み出さない。

生きているという事は、最低限次に何かの力を伝える事だと思う。
どんな小さなことに対してであれ、進化したDNAを次に伝える事だと思う。
雫が関わった祖父からの教育の根底には人としての誇りと開拓精神を据えられていたようで、それは雫の潜在意識に浸透していた。
故に雫にとって『自殺』や『殺人』は一番許し難く受け入れることのできない解決策であったことは幸いだ。

雫がこうして考えて悩む事にしても決して無駄ではないと思いたい。
ましてこうして、こんな駄文が人の目に触れるなどということは、誤って、昭和初期の培養液で育てられた雫(15年~20年の時差ボケ)にとっては奇跡で、誰か必要としている人の目にも触れているのかもしれない、これから誰かの力になるのかも知れない。

そう思うこと、そう望むこと、そしてそうなる事は、人として生まれたのならば悪い事ではない。
天邪鬼で偏屈な雫でも、「それくらいは素直に受け入れなければならないのだろうか?」と、多少疑問を抱きながらも感じてはいるだろう。
(『受け入れよう』になれないのが雫の、人間に対する非執着思考なのだろう。)

雫の人生も先をみればまだまだ時間がある。
自分で命を絶つことを選択肢から外せば、雫という人間は終わりではない。
続いている。
雫以上に悩み、苦悶する誰かの力になる為に雫が存在しているのかもしれない。
連鎖ではない、悪循環から切り離した命の継続が、雫の生きる意味で、人間業を与えられた意味なのかも知れない。

『if…』や『maybe…』の結論ばかりになってしまうけれど、目的も意義も見えない掴み所のない未来より、取り敢えずそれらしきものが見える方が、生き易いことは確かだ。
そういう意味では、雫は少し生き難さの重みから開放されて身軽になり、前へ進み始めたようである。





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TITLE:空はまだ遠い




(完結)



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『月の雫』に影響を与えた祖父の存在(8-7)
(『月の雫』以後、雫と省略)


『親による虐待やアルコール依存症のある機能不全家庭』実は、祖父が正にこれの状態で育っていたのだ。

祖父は煙草も酒も、一切やらない人だった。
極端過ぎるくらいに娯楽に興じる事を嫌った。
(冗談の通じない、堅物と思われていた理由はきっとそこだ。)
非道徳的なこと、非人道的なこと、背徳、自慢、妬みなどを極端に嫌い、否定し、不正や悪を拒否した祖父。
それは、紛れもなく自分の親が、その真逆で醜態を晒していたからに他ならない。
(祖父の母親の話を聞いたことがないので、主に父親だと思う。)
祖父の父親は、酒、煙草、博打、(女に関しては不明)に明け暮れ、祖父に暴力を振るっていた。
祖父は正にその渦中で育ったのだ。

非道徳的なことを嫌った祖父だが、体罰は別で、自分の子供たち(雫の父兄弟)が悪さをしたり、人に迷惑を掛けたりした時は、尽く叱り叩いたということだった。
息子の中には、お仕置きと称し、麻の米袋に入れられて袋口を麻縄で括られ、だだっ広い農機具小屋の梁(はり)から吊るされた挙句に棒でこっ酷く叩かれ、電気一つないその場所に半昼夜放置された者もいた。

子供たちは負けじとそれに反発したようだが、そこは祖父の反骨精神が教育に無意識のうちに反映されていたようである。
そしてそのせいか、繰り返し祖父の手を煩わせる懲りない面々もいたようだが、もしかしたらそれは、歪んだ形でしか表現方法を知らないその子どもの、精一杯の親への甘え方だったのかもしれない。

そんな祖父に、母の入院による不在で、深く関わってしまった雫。
(母の不在は雫にとってアクシデントだったのか?もしも雫の母が入院などしていなくて、祖父に深く関わることがなかったとしたら、雫はACにならずに済んだのか?そんな疑問が湧くが、突き詰める機会と気力があれば、何れ書くこともあるだろう。)
そんな複雑な祖父のエネルギーに晒されて育った雫。
そう、複雑な祖父のエネルギー…。

考えてみると祖父のエネルギーとは、ACの祖父が機能不全家庭で少年時代から引き摺って来た負のエネルギーと、祖父の両親が他界後、祖父が現状を克服して理想に向かおうと歩みだした正のエネルギーである。
祖父の負のエネルギーは実の息子である父(とその姉弟)に向けられ、正のエネルギーはまるで自分が為し得なかった夢を子供に託すように、初孫の雫に向けられた。

結局雫は、負のエネルギーのみを強く受け継いだ父と、ACそのものの祖父とに挟まれてしまった訳だ。
雫の父が受け継いだ負のエネルギーも、祖父が夢と希望を託した正のエネルギーも其々が更に増幅され、雫はそれらの開放の矛先になったのだ。
ターゲットになってしまったのだ。

ここで、ふと、もう1つ思い出した事がある。
雫の祖父には養子で貰われてきた義弟がいたという話だった。
雫もこの義弟は面識あるが、本当の兄弟だと思っていたので、何かの折に「おじいちゃんの弟だよね」と祖父に言った時、祖父が吐き捨てるように「血は繋がっていない!貰われっ子だ!」と言った言葉が気になっていた。
祖父はもしかしたら、子供でありながらこの義弟を何かにつけてかばい守る責任を負っていたかも知れない。

祖父の義弟の存在…。
養女に出された雫の妹…(深くは触れないが、実は雫の妹は祖父の娘(子供が出きにくかったようだ)の所に養女に出されている)。
どこか二の次にされている血の繋がり…家族愛…薄情な雫…何か関係がありそうだ。
少しずつ様々な重要なキーワードが繋がってきているようだ。

『雫』に影響を与えた祖父の存在と題して、祖父の事を基盤に雫の閉ざされた記憶を呼び出すように書き綴ってきた。
生きる方向にまだすがる光があるならばと何かを整理するつもりで書き始めた雫だったが、まさかこんな流れになるとは思っていなかった。
自分自身のACを考えているつもりが、ACの連鎖を証明した形になってしまうとは。

冷静に考えてみると、雫の父の姉弟も、幸せか否かは分からないが、少々普通でない、決していいとは言えない人生を送っている。
そして、雫と、おそらく雫の、養女に行った妹もACだと思う。
思った以上に様々な事が見えてくる。
理由に納得がいかないと、理解できない雫には、憑き物が落ちたような感覚だ。
しかしここで、雫は怖ろしい事に気付いた。





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TITLE:閉じ込められる連鎖




(続く)



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『月の雫』に影響を与えた祖父の存在(8-6)
(『月の雫』以後、雫と省略) 


戦後、家族を養うことで精一杯で、知識や教養は生活の余裕がなければ手に入らなかった時代。
そんな時代を生きてきた祖父の心境を推察していくにつれ、実は雫だけでなく、雫の父も『何かが欠損して歪んで育った』ACではないかということに気付いた。
見栄やプライドばかりが強くて、傲慢で我侭で、そのくせ雫に対する愛情は押し付けがましく、自分の感情が優先で、相手の気持ちは汲み取ろうとしない、井の中の蛙だった父。
雫とは水と油のような父のそれらの性格的特質や人間性はやはり、雫同様『欠損思考回路』によるものだったのではないのかと。

父の生前中は、父の遺伝子を受け継いで自分が形成されているのだと思うと、雫はえも言われぬ不快感と怒りと、自己嫌悪に陥っていた。
その身体も心も巡る血も、あの人間のものを引き継いでいるのかと思うと、自分自身を消滅させたい衝動に駆られた。
(今現在は敵が居なくなった反動か、雫の心は気が抜けて意気消沈した状態だ。)

では、何故父はそうなったのか?多分、戦中戦後の混乱した時代に生きなければならなかった祖父の、息子への関わり方に問題があったからではないのだろうか?
雫に注がれた祖父の愛情や教育は、本来は息子が、つまり雫の父が受けなければいけなかったのではないのか?
雫ではなく、雫の父の子ども時代に向けられなければならなかったのではないのか?
そんな答えが少しずつ導き出されてくると、ただ時代の波に翻弄されただけだと言うのに、娘に散々に嫌われ続けた父親が、雫は少し可哀相に思えてくるのだった。


ここで一度改めてAC(アダルトチルドレン)の意味を確認してみる。
アダルトチルドレン(ウィキペディアより)
アダルトチルドレンとは、機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなお内心的なトラウマを持っている人のことを指す。Adult Childrenの頭文字を取り、単にACともいう。学術的な言葉ではないため、論者により定義が異なる場合がある。
一般的には親による虐待やアルコール依存症のある機能不全家庭で育ち、その体験が成人になっても心理的外傷として残っている人をいう。破滅的であったり、完璧主義であったり、対人関係が苦手であるといった、いくつかの特徴がある。また、無意識裏に実生活上の人間関係に悪影響を及ぼしている場合も多い。


改めて読み直してみると、上手く的確に表現していると感心してしまう。
『破滅的であったり、完璧主義であったり、対人関係が苦手であるといった、いくつかの特徴…』程度はどうあれ、そのまま当て嵌まる。
しかし、ここで1つ疑問が…。
確かに雫の父は酒が強く酒豪で、職業柄仲間が寄り合っては毎日呑んでいた。
でも、父はアルコール依存症ではない。(目に映る限りは。)
そして雫は、言葉の暴力は儘あったかも知れないが、腕力による虐待は受けたことはない。
過去1度や2度は殴られたことはあり、どれも納得いかないことばかりではあったけれど、これは虐待とは言わないだろう。

では何故?書いているうちに見えてきたことがある。
それは、雫の家系にずーっとACが続いていたということだった。
ACは連鎖するというけれど、その図式そのままではないか?
雫や父だけがACなのではなく、本当に重篤だったのは、実は祖父だったのではないのだろうかと言う考えに辿り着いたのだった。











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TITLE:やがて現れる真実



(続く)



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『月の雫』に影響を与えた祖父の存在(8-5)
(『月の雫』以後、雫と省略)


雫は思った。
自分が、生まれてから多感な思春期を、正常に機能しない家庭環境で育ってしまったアダルトチルドレン(AC)というものであるならば、もやもやと感じていた自分の生き難い理由や、欠損部分とそれを取り巻く様々なものに、一度しっかり向き合って明らかにしなければいけないのではないかと思った。
そうすればもう少し、心の奥底で渦巻く違和感や虚無感は取り払われ、生きる意味も素直に受け入れられるのではないか、心の油膜が落ちるように目の前の将来が明るくなり、人並みに生きる希望が生まれるのではないかと…。

しかし思考がそういう方向に向いたからと言って、『人道』なるものから逸れた物事の考え方やその内容については、雫自身にとってはあまり重要ではなく、『欠損思考回路』が出来上がった原因とプロセスが興味の対象であった。
この時雫はまだ、まるで人ごとのように沸いてくるただの好奇心にも似た興味が、自分が気付かずにいた、と言うより実は封印していたトラウマを暴き出し直視させられることになろうとは、予想もしていなかった。

一つ一つ問題の答えを導けばコトはクリアに解決され、心は霧が晴れるように開放されていくものと思っていた。
しかしそれは間違いだった。
コトはそんなに容易いものではなかった。
一つをほどけば何かが絡まり引き摺り出され、複雑に絡まったトラウマと連鎖。
それに立ち向かうことは、何重にも記憶の奥底に封印していた物を曝け出し、心の傷を抉り出すことでもあるのだということを、雫はまだ知らなかった。

雫は祖父を尊敬するに値するすばらしい人間だと崇拝にも似た感情を抱いていた。
体力ばかりで頭を使わない家族の殆どは、百姓にはそぐわぬ学識ある祖父を、何かとややこしくて面倒で、理屈っぽく偏屈な人間ということで(おまけに相当頑固者だったことも原因か)、疎ましく思っていたようだが、雫にとっては誰にも勝る師であった。

しかしながら雫が、それほど尊敬する祖父と(訳あって)親以上に関わりを持って生活していたにも関わらず、その人間性を歪めてしまったのは何故か。
その原因を探るには、祖父の生い立ちや環境を推し量る必要があった。
雫にとってこんなにすばらしい人間であると思われる祖父はどんな歴史を背負っていたのか。

祖父が食欲旺盛な思春期の4人の子どもと妻を抱え、家族の大黒柱として働いていたのは終戦間も無くだった。
混乱した戦後を生きるためには、自分の子供への教育に気を回す余裕などあるはずもない。
日々、飢えさせる事なく家族を養っていくのに精一杯で、自分の持つ知識や知恵を、しっかりと子供に伝えるなどという、そんな余裕など無かったのだと想像できる。

雫は職場や社会生活で沢山の人生の先輩(主に60歳前後)と関わるにつれて、雫が育った環境と雫を育てた師(祖父)の教育は、(雫より)15~20歳上の人たちが受けた教育であり、体感してきたものなのだということに気付いた。
まるで、昭和初期からタイムスリップして、違う文化の現代に放り出され帰れなくなって(ついこの前そんなドラマがあった)、時代錯誤を書き換えながら、今に生きているようなものか…そんなことを考えた。
現代の人間社会に馴染めないのはそういう影響もあるのか…と。
少なからず、雫が『生』や『死』や、『自分』や『人間』であることへの自覚と執着がない原因の1つにはなっているような気がする。

祖父の事を書き記していくうちに、雫は今まで考えてもみなかったあることに気付いた。




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TITLE:光と風の気配



(続く)



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『月の雫』に影響を与えた祖父の存在(8-4)
(『月の雫』以後、雫と省略)


雫が生きている祖父と会ったのは、病院でのあの時が最後だ。
入院する祖父を見舞い、仕事場のある自分の生活拠点にとんぼ返りした数日後、祖父は亡くなった。
結局、当たり前の話だが、葬式は行われ、雫はあの言葉を最後に祖父の死に目には会えず、滑り込むように葬儀に参列した。
火葬直前だった。
多分使う交通機関によっては死に目に会えたかも知れないが、特に焦りはしなかった。
何故かって、最早人への執着が薄い雫にとって、『死ぬ』も『死んだ』もそう変わらない…、どこかにそんな冷めた感情が根付いてしまっていたからかもしれない。
(命と愛に熱い信仰まがいの思想を持っている人が聞いたら、反論と怒りを買い窘められそうだが…。)

生前祖父が、遠く離れて暮らす雫に、こうも言った。
「無理に帰って来なくていいからな。お金も掛かるだろうし、事故も気になる。
私は会いたい時には、何時でも夢でお前に会いに行っているから。体に気をつけて頑張りなさい。」
この言葉が、義務的に建前の行動をしなくてもいいという、ある種の束縛から雫を解放していた。
多少何か第6感なる力があるのか、正夢、逆夢、予知夢など不思議な夢を見ることがあったというのもある。
実際、雫の祖母が、結構このような力を持っていたようだけれど。
そんな理由で、「夢で会いに行く」が妙に真実味があって、自然に納得してしまったのだった。
(しかし、あれほど心底自分に関わった大切な人がこの世を去るというのに、死に目に間に合う事を、義務的な建前の行動としか考えられないといのは、やはり何かおかしい。)

それでも今までは、そのことが一般の人の思考回路と違っても、雫は特に気にしないことにしていた。
何故なら、雫は十分過ぎるほど、外面は社会に上手く対応していたし(適応ではない)、普通の人たちに違和感を感じながらも、凄く普通の人の振りをしていたと思う。
それに、そのような命を冒涜するかの如き不届きな歪曲思考を社会に主張しているわけでもなかったから。

今までは、もう一生そのように本性を押し殺して、綺麗事の人間愛思想をたっぷり持った心優しい人の振りをして生きていくんだと雫は漠然と受け入れていた。
そのうち慣れて、本当にそんな人間になれるかもしれないと、自分を騙しながら生きていくことを諦めの境地で受け入れていた。
そう、アダルトチルドレン(AC)と言う言葉を知るまでは。






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TITLE:移ろい行く執着の場所




(続く)



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『月の雫』に影響を与えた祖父の存在(8-3)
(『月の雫』以後、雫と省略) 


病室のベッドの上で、生への執着もなく穏やかに自分の死を受け入れる祖父の姿を見つめる雫の中で、死への恐怖や人への執着が消えた。
そう、「葬式はいらない。死ぬ者よりも、生きて残された者のことを考えよ。」と言った祖父の言葉は、死んでいく人より生きていく人が優先なんだと歪んだ形でインプットされた。
あまりに強くこびり付いてしまったために、それが修正しなければいけないことなのかどうか、間違った意識なのかどうかさえわからなかった。

なぜ、それ程強く刷り込まれてしまったのか?
普通なら『変わり者の偏屈爺さんの戯言』くらいにしか受け止められないだろう。
実際祖父の子供たち(雫の父とその兄弟)は、祖父の言葉など全く気に留めていなかった。
祖父が葬式はするなと言ったところで、常識から考えてもそんな要望は受け入れられる筈がない。
最後の短い入院の寝たきりのベッドの上で祖父が発した数少ない言葉を、祖父の本位として受け取ったのは、訳あって親以上に祖父と生活を共にした雫だけだった。

雫は病室の隅で、祖父のあの言葉を聞いた後にこっそり誰かに確認の意味で訊ねた。(雫の母も居たから、彼女に聞いたかもしれない)。
「葬式しないの?」
「そんなもの、真(ま)に受けるわけないだろ。」
そんな答えだったように雫は記憶している。

あの言葉は祖父にとって決していい加減なことではなくて、思慮深い祖父が心底願い、到達した最後の答えであり希望だと言うことが、祖父と一番接していた雫には痛いほど伝わった。
しかし、残された軽薄な人たちは、祖父の心など汲みもせず、自分の保身のために体裁ばかりの葬式をあげた。

確かに葬儀の規模は故人の存在の大きさを反映するのかもしれない。
が、そのこと以上に、残された者達のエゴや見栄や自己顕示欲を反映していた。
仮にもしも葬式をしていなかったら田舎の世間の目は、その選択肢を望んだ祖父の人間性より、家人に対して故人を蔑ろにした親不孝者というレッテルを貼り付け、子孫の代まで罵り続けるであろう。
だから葬儀が後に残された生きている者たちの見栄の象徴であろうが、寛大な祖父ならこれから生きていくお前達が気の済むようにしなさいという思いであの世から眺めていただろう。

祖父が逝去するまでの雫の生活は、そんな祖父の影響と相反するモノの影響が合わせ鏡のように存在した。
相反するモノとは何か。
それは奇異な思想の培養液とも言える雫の父の教育だった。
雫の父の、祖父に対するコンプレックスに凝り固まった反抗心から生まれた教育だった。
その異質な二つのモノに同時に育まれた雫の中には、一見正常に見えて、実は大きな異変が生じていたのだ。
それは雫に『何かが欠損した思考回路』を生み出していたのだ。

話が逸れたが、『なぜ、祖父の言葉がそれ程強くすり込まれてしまったのか?』その理由は祖父の影響と同等に存在した、雫の父に脈々と根付く『親(祖父)に対する反感思想』によるものだった。
それらによって雫の中に形成されてしまった『何かが欠損した思考回路』によるものだった。

祖父の言葉は、雫の『欠損思考回路』により、極端に歪曲した解釈となり認識された。
そうしたことが更に、雫を人間への執着から遠ざけていった。




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TITLE:偽りの光




(続く)



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『月の雫』に影響を与えた祖父の存在(8-2)
(『月の雫』以後、雫と省略)


「人生波風なく、平凡が一番幸せだ。平凡に暮らす事を求めなさい。」
雫は、祖父が常々言っていたこの言葉だけは納得がいかず、受け入れられなかった。
祖父にとっては、過酷で波乱万丈な生活に翻弄されて否応なしに歩まされた人生の中で、最終的に導き出した答えだったとしても、雫にはこの祖父の思想を受け入れることが出来なかった。

物資に恵まれた世の中に生まれ、まだ苦労や怖さを知らない、夢多き若い雫から将来への希望を奪うような、そんな保守的な思想が受け入れられる訳がない。
祖父の意図する所は分かるが、雫の心のどこかに宿る冷血で野心的な欲望は、この思想を明らかに拒絶していた。

雫が社会に出て働ける年齢になり途轍もなく遥か遠くに(と言ってもいいくらいの場所に)就職して間も無く、そんな祖父が病に倒れた。
1年ほど入院していた。が、その入院は病が既に手の施しようがないほど悪化した状態で発覚したもので、殆ど延命に近い治療だった。
治る見込みがないことを察してか、本人の頑固な申し出で半ば無理矢理退院し、在宅療養に切り替えた。
雫の母の介護に頼りながら、それから祖父は結局10年近く生きた。

死ぬ前の最後の入院の時に祖父があることを言った。
その言葉が、雫の死に対する認識を変えた。
『私の葬式は要らない。私はもう十分に生きたから、私のことなど考えなくても良い。死ぬ者よりも、生きて残されている者のことを考えなさい。』
祖父は、病室のベッドを囲む自分の子供たち(父とその姉弟)に向かって言った。
それから祖父の目が、雫や小さな曾孫たちを見回した。
その目はとてもやさしかった。

雫の中で何かが弾けた。今までどこか縛られていた意識が、一番最愛の人に、
「私のことを考えなくてもいいから、お前はこれから自分の為に、自分の人生を歩みなさい。」
と、言われたようだった。
解き放たれた気がした。
この人が良いと言っている、この人が言う事は正しいんだ、そんな気持ちだった。
あの時の場面と祖父の言葉が雫の脳裏に深く焼付いた。






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TITLE:穏やかな休息




(続く)



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『月の雫』に影響を与えた祖父の存在(8-1)
(『月の雫』以後、雫と省略)


雫の祖父は、大酒呑みの父親(酒で家を潰した)の代わりに、14歳だったか13歳で、サハリンへ渡る船の人夫として働き家を支えた。
 ※サハリン:旧樺太(からふと)
 ※人夫(にんぷ):力仕事に従事した労働者の旧称

祖父は青年時代に海兵隊も経験した。
船の上の閉ざされた世界で祖父は様々な生活能力を身に付けた。
料理もするしセーターの綻びも編み針で器用に繕う。
モノを購入する時代ではなかったから、基本、自分で何でも作る。

一人前になってからは今の場所(雫の実家)に住み、少しずつ土地を開拓し所有していった。
知識や教養も豊富で、世の中の事に疎い村民の交渉事や相談にも乗っていた。
村民の先頭に立ち、市長に掛け合って村に新しい道路を引いたり、舗装整備したり、バスを増やしたりと、祖父の働きは随分と村の生活水準向上に貢献したようだ。
農業の歴史を凝縮した模型作品(作業する人や縮寸の道具(手作り)を並べたもの)を、市の郷土資料館に寄贈したり、子供のための地域活動には特に積極的に参加した。

祖父の学歴は、中学卒業程度だと思うが、祖父自身は非常に勉学熱心で、様々なことを新聞や本から独学で学んだようである。
年老いてからも学習意欲は旺盛で、大学の特別カリキュラムなる『老人大学』(おそらく戦争や生活苦など不安定な時代に生き、何らかの事情で学習の機会を奪われた人たちのために開設されたものだと思う)にも参加していた。

漢字の読み書きに関しては、辞書を引くのを面倒がった雫の問いに100パーセント答えることができた。
斬新なアイデアや目新しい事を躊躇なく受け入れる寛大さも、あの時代の人にありながら、偏見的でない祖父のすばらしいところだ。

雫を幼い頃から良く面倒をみていた祖父だが、周りの同年代や他人からは、真面目で堅物で融通がきかない、ともすれば偏屈な頑固ジジイの印象を持たれてもいたようだ。

雫にとって祖父は、雫の欲する能力を備え、あらゆることに長けた、尊敬すべきスーパー老人だった。
しかし、そんな尊敬すべき祖父に対して、雫にはひとつだけどうしても受け入れられない祖父の思想があった。




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TITLE:木漏れ日





(続く)



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誕生に母の愛がない理由(4)




そう考えると、雫が投げかけた質問に対して若かりし頃の母がとる様々な態度に、 
納得できるところがたくさんあり、数々の合点がいった。 
母はクールな訳ではなく、自分の産んだ子供が思春期を迎えるほど成長したと言うのに、 未だ心を凍らせたままだったということなのか。 

母のように十代で結婚し二十歳程度で出産する女性は沢山いる。 
ギャルママと呼ばれる、一見子供を育てるなど出来そうにない、 当人が未だ見るからに幼くて、とても母親には見えない女性達もいるし、 更に中にはシングルマザーであったりする女性もいる。 

しかしそのように母親として頼りなく思われる女性達であっても、 根本的に雫の母とは大きく違うところがある。 
それは、彼女達の殆どは、付き合った期間はどうあれ愛した男性の子供を身ごもり、 10ヶ月間お腹の中で大切に育み、やがて溢れるほどの愛情をもって、 生まれてくる子を迎えるであろうということ。 

生まれた雫はやがて喘息やアトピーが発覚する。 
母は大家族の長男の嫁というプレッシャーの中で、 体の弱い子を産んだという負い目を更に背負う。 
間も無く自分も病気になり長期間入院する。 
そして雫の幼少期、目の前には母親が不在になる。 

妊娠して赤ちゃんを授かると誰もが事情はそっちのけでおめでとうと言う。 
子供を授かることは本当におめでたいことなのだろうか。 
母は雫を身ごもった時、おめでたい事だと喜んだのだろうか? 
雫を身ごもって嬉しいと思ったのだろうか? 
身重の身体にも関わらず、大家族の家政婦のように家事や田畑仕事に追われ、 出産後は病気持ちの子供の育児にも追われ…。 


雫の誕生には母の愛が見えない。 
というより母の愛が存在する余地がなかったのだと思う。 



幸いなのは、その母も今は既にそんな過去を割り切って、人生を謳歌している。 
雫はそんな姿を電話向うに窺い知ると、母に対する罪悪感が少し薄れ、ほっとするのだった。 


雫は自分の与えられた人生に早く慣れてしまえたらいいのにと思った。 
雫の誕生に母の愛があったかなかったかなどどうでもいいことなのだと、 未練も拘りも捨てて割り切って生きたいと、日々希っている。 
しかしそこに至るにはまだまだ長い道程のようだ。 
慣れた頃にはきっと、人生のゴールのリボンが、或いは出口のドアが目と鼻の先か…。 
そこに辿り着いたとしても、夢は叶ってはいなくて、雫は相変わらず人生に迷ったままか…。




(終わり )




 


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TITLE:誕生に母の愛がない理由





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誕生に母の愛がない理由(3)
 

19歳の処女の娘が、相手の写真を一度見せられただけで、 全く初対面の見ず知らずの5歳も年上の男と結婚する。 
その時の時代背景や雫の母の様子から察するに、この出会いにはこの時点で、 恋愛感情など存在してはいないだろう。 
しかし所詮若い男と女、床を共にして夜を重ねるに連れ、性への興味も相まって、 やがてお互いを求め合いセックスへと進展していくというのか。


おそらく、当時のそのような嫁ぎ方ならば妊娠は自然の成り行きであるから、 現代の若者のように妊娠回避の意識はないだろう。 
当然のことながら望む望まざるに拘わらず、特に避妊することもしなければ子供ができる。 

ここまでの流れを振り返ってみて、もしもたった一度見た写真で恋心が芽生えたとしよう。 
そうでなくとも肌を重ねるうちに、そんな恋心が芽生えてきたとしよう。 
一目惚れの状態で、或いは恋愛感情が生まれてきた状態で結婚妊娠したなら、 母はその頃の幸せな心情を、きっと照れながらももっと雫に語っただろう。 
愛に発展し性交渉に及んだのなら、母はきっと世間一般の妊婦のように妊娠を喜び、 雫を身ごもっていた期間の胎動を喜び、出産の苦しみや感動を話してくれたに違いない。 

けれど雫は母からそんな言葉をこれまで聞いたことがなかった。 
雫の誕生に、これまで一度たりとも母のそんな幸せそうな様子を見たことはなかった。 
子供の頃はその理由も分らず、ただ母は少しクールな女性なのだと信じ、 ただ漠然と疑問を抱いていただけだった。 
が、様々なことを経験し大人になった今、雫は切ない現実に気付いたのだ。 

母は恋愛感情のない状態から、一つ屋根の下の一つの部屋で、 好きかどうかも分からない赤の他人である大人の男と毎夜を過ごした。 
そのように朝晩を共に過ごしていたとは言え、たかだか1年の同居生活で、 喜んで身体を委ねるなどということができるのだろうか? 
たかだか1年で愛のある性交渉ができるのだろうか? 
もしかしたら母が雫を身ごもったのは合法レイプに等しいのではないのだろうか? 

母が結婚の馴れ初めや妊娠出産に触れられたがらない理由はそこにあるのか。 
母の心の中では、雫を宿し出産した経緯は触れたくない事実で、 もしかしたら忘れたいほど辛い過去なのではないのか…。 
雫の命の始まりを遡ることは、 母があの時の苦悩を思い出すことに他ならないのではないのか。 

そう考えると、雫が投げかけた質問に対して若かりし頃の母がとる様々な態度に、 納得できるところがたくさんあり、数々の合点がいった。 
母はクールな訳ではなく、自分の産んだ子供が思春期を迎えるほど成長したと言うのに、 未だ心を凍らせたままだったということなのか。 



(もう少し続きます…)





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TITLE:誕生に母の愛がない理由(3)






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誕生に母の愛がない理由(2)


すると母はぼそりと言った。 
「親同志が決めた結婚で、写真を一度だけ見せられて、どこの誰とも知らぬ人に嫁いだんだよ。」 
思いも寄らない言葉だった。 


喉の奥と胸が締め付けられるような感覚と同時に、 子供心にある恋愛や結婚への憧れがガラガラと崩れていくような寂しさが込み上げた。 
その後は言葉が詰まり何も言えなかった。 
その話はそれっきりになった。 

その頃は、そんな写真を見ただけの親の決めた政略結婚でも、 一応母は父の写真を見てこの人ならと承諾したのだろうと、 雫は少女マンガのような、恋に夢多き解釈をした。 
嫌だったら断ればいいんだしと、簡単に拒否できるものだと思っていた。 
(実際は親の決めたことに逆らうなど、その頃はまだ簡単にできることではなかった。) 

その時の母の心境がどんなだったかなどとは考えてもみなかった。 
その答えを聞くまでは、現在ではありきたりでない結婚の切欠をドラマチックにすら感じて、 自分の父と母がまるでテレビドラマや小説のようにロマンチックにさえ思えた。 
愚かなことに雫は、父と母の出会いに対して少し得意な気分でさえあった。 

ところが最近、母のあの言葉を聞いた時に感じた苦しさ以上に、 遣り切れないあることに雫は気付いた。 
それはこれまで思いもしなかったことだった。 
雫はあるとても悲しい事実に気付いてしまったのだ。 


雫の母は19歳で結婚していた。
相手は5歳年上だった。
 
高校を卒業して1年後くらいに、「この男性どう思う?」と言われたか、「この男性のところへ嫁に行きなさい」と言われたかはわからないが、父の写真を見せられ、その後すぐに結婚していた。  
一般的に適齢期を考えるなら、19歳はやや早い結婚と言える。 

 

そして雫は、母が21歳で産んだ子である。 
21歳で産んだということはその10ヶ月前に妊娠したということになる。 
雫の誕生月から逆算していくと明らかに母は20歳で妊娠したことになる。 

つまり纏めると、母は19歳の時、親の決めた、 それもたった1度写真で見ただけの見ず知らずの24歳の男性の元に嫁ぎ、 翌20歳に処女を失い(母の時代は女性はとても貞淑だったから)、 雫を身ごもって21歳で産んだということになる。 

文字だけ追えば早婚についての何と言うことのない文章の、どうと言うことのない内容だ。 
けれどどそこに置かれた女性側の気持ちになって考えてみると、 単純に結婚や出産を喜べない受け入れ難い背景が見えてくる。 
そして大きな苦悩と疑問が浮かんでくるのだ。 

19歳の処女の娘が、相手の写真を一度見せられただけで、 全く初対面の見ず知らずの5歳も年上の男と結婚する。 

その時の時代背景や雫の母の様子から察するに、この出会いにはこの時点で、 恋愛感情など存在してはいないだろう。 
しかし所詮若い男と女、床を共にして夜を重ねるに連れ、性への興味も相まって、 やがてお互いを求め合いセックスへと進展していくというのか。

 

 



(もう少し続きます…) 

 

 




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誕生に母の愛がない理由(1)




雫の母は、父との馴れ初めや雫をお腹に宿していた時の事やその頃の気持ちを話したがらなかった。 

普通は誰しも一つくらい、結婚前のデートの思い出や、赤ちゃんがお腹の中で動いている喜びとか、 妊娠中のエピソードなるものが何かしらあると思う。
だが、 
雫がそういう話題を投げかけると、母はいつもするりと上手くかわし素通りするか、話をはぐらかすのだった。 

「お父さんとどうやって知り合ったの?恋愛結婚?見合い結婚?」 
中学生くらいだったろうか、雫があからさまにそんな質問を母に投げかけたのは。 
恋愛や異性に興味を持ち、友達と顔を合わせば誰が誰を好きとか嫌いとか、 学校へ行けば専らそんな恋の話で盛り上がっていた頃だと思う。 

普段ならかわされてお終いの質問だったが、雫はこの時は、母に少ししつこく訊ねた。 
どうせ結局はかわされるだろうと内心は期待していなかった。 
しかしその時どういう風の吹き回しか、初めて母は、やや渋い顔をしながらも答えを返してきた。 
その答えはあまりにもあっけなかった。

「どちらでもない」 

その頃の雫の頭の中には、結婚は見合いか恋愛の2種類しか思い浮かばなかった。 
戦前や戦後間もなくとかという時代なら、身売り同様の政略結婚もあっただろうが、 少なくとも本人同士の自由結婚が認められるて受け入れられるようになった母の世代以降は、 世の中のあらゆる結婚がその2種類のうちのどちらかに当て嵌まると思っていた。 
だから、そのどちらでもないという母の答えの真相を、 その頃の人生経験もまだまだ未熟な雫は推し測ることが出来なかった。 

母は言った。 
「見合いしてから恋愛、と言えば恋愛だし、そんなものかな」 
雫は漠然とした内容を自分の頭の中で整理するように僅かに間をおいて訊ね返した。 
「見合い写真を見てから、良さそうな人だと思って結婚したの?」 
母はそんなとこかなと、話を終わらせたそうな投げやりな口調で言った。 

雫はそんな母の表情を脇目に、テレビのファミリードラマでよく見る、 お見合い写真を数枚並べてプロフィールを見比べながら相手を品定めする、 そんなシーンをどこか羨ましい気持ちで思い浮かべていた。 

「何枚か見合い写真があってその中からお父さんを選んだとか?それから付き合いだしたんだ。」 
雫はひとり言の念仏のように少し早口で言いながら、 見合い後恋心が芽生え一応愛が生まれて恋愛結婚か…と単純に納得し、 それも恋愛の形かなどと大人ぶった思春期の脳で自分勝手に良いように解釈していた。 

すると母はぼそりと言った。 
「親同志が決めた結婚で、写真を一度だけ見せられて、どこの誰とも知らぬ人に嫁いだんだよ。」 
思いも寄らない言葉だった。 


(続きます…) 




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TITLE:誕生に探す母の愛の所在

 






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未来…




あなたは私の行きたいところを知ってる
きっと連れて行ってくれる
そして更にその先へ
私を連れて行こうとしてる
「僕がいるから大丈夫だから」って

欲と自信を過去へ置いてきてしまった私は
不安な未来より
ありきたりな愛情のある場所に留まろうとしてみたり…

世の中の大抵の誰もがそうであるように
それも私の人生の中では大きな意味を持つもので
私にとっても生きる価値に値することで…

でもそれでは
私とあなたが長い時を越えて
今こうしている本当の答えにはならない

あの頃の私を動かしていた
過去に置いてきたパワーとエネルギーは大きい
今、それがないまま
踏み出してしまった私は
本当にあなたなしでは生きていけない

一日一日、日を重ねるほどに
そのことばかりが明確になる
私はあなたなしでは生きていけない





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TITLE:未来







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性別の分類と認識(3) 

【性別の分類と認識(1)(2)(3)】の内容は、人によっては偏見的で不快に感じられると思います。 
先ず、愛はセックスが全てと言う認識の方は読まないほうがよろしいでしょう。あまりお勧めしません。 



性別の分類と認識(3) 


そして更にわかったことがあります。 
前述以外に更に2種類あるということ。 (性別の分類と認識(1)(2)を参照)


5.男性も女性も好き。これは人間が好きということなのか? 

6.男性も女性も嫌い。人間そのものが嫌いということなのか? 



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TITLE:性別の分類と認識(3) 


この世に生まれ出でて、選択できない環境で、好む好まざるに関係なく様々な体験をし、運命に翻弄されます。そうして生きる中で自分を形成し、それぞれの愛を選択します。 

頭を整理しました。 
で、私は結局どこに分類されるかというと…。 

時々『女は男が好きだろう』とか世の中『所詮男と女』とか下世話な価値観でものを言う人がいます。云十年も人生を生きてきたと言うのに未だ人間に対する偏見が大きく、男尊女卑思想に凝り固まっています。更に酷いのは頭の中には性欲しかないのかと思われるような人間も珍しくありません。人生の先輩なのだから、或いは少なくとも私の知らない過去の時間を生きて来たのだからと言う思いで、尊敬に値するものを何とかその人間に見出そうと思うのですが、やたら自信満々にそういうことを口にされると、だんだんと情けなくくだらなく思えてきます。あまりに低俗だと憤りさえ込み上げてくることもあります。 

それでも常に、一人の人間としての魅力を見つけ出そうと意識して人を見るよう努めています。そうしているつもりです。勿論、異性なら恋愛感情と言うものに連動していくこともありますが、私の場合、極端なことを言えば、『男』というだけで、イヤもう少し条件を付けて『いい男』というだけで、目にハートマークが現れることは決してありません。そして、『男』或いは『女』と初めから識別した目で見るのではなく、性の意識が取り払われた人間同士としての付き合いがしたいと思うのです。 

でも、どんな見方で見るかはその人それぞれの価値観によって変わるものであり、それこそ『世の中は男と女』と言う見方に基準を置き、そこを物事の始点とするならば、私みたいな考え方の人間はそれこそ人として未熟者で低レベルに他なりません。そして特に一部の、愛が全てと言う愛情信仰者からすれば、「幼少期に愛情なく育てられて、愛に対して卑屈になっているんだろう?」と軽蔑されかねないでしょう。寧ろそういう目線で判断すると、こういう見方をする私は異常で欠陥者なのです。 

しかしながら、確かにその要因はあり、強ち否定はできません。今の私は、事実、愛を求めてはいないし、無くては生きていけないモノは別のところにあるのです。 

で、私は結局どこに分類されるかというと…。 
世の中に順応できる能力を持った⑤のタイプです。なまじ世の中に順応できる能力を持っているから、本当の自分(グレイの⑤の自分)を上手になだめすかして⑤以外の他のタイプの振りをし、本来の⑤のタイプの自分をどこかへ閉じ込めてしまっていたのだという気がします。 

今まで、ずーっと④のタイプだと思ってました。でも何かが違う…。気持ちが通じ合い充実した時間の中でコミュニケーションがとれても、喜怒哀楽の『喜』&『楽』が湧いてきませんでした。書物を読むように新しい情報を手にしたに過ぎず、表面上の『喜』&『楽』の感覚はあっても、人とのふれあいやコミュニケーションに対しての『喜』&『楽』がないのです。感情は『無』の状態です。とても事務処理的に、半ば、生きていくための情報を得るという義務のように人とのふれあいを取り込んでいるのです。 

振り返って考えてみると、恋愛も、自分が成長するための必要な情報や体験を身に付けるために、義務的に自分に課していたのを思い出しました。○○の目的のために恋愛をしなければならない。そのために恋愛対象を探す。恋愛という行動スイッチを入れる…。おかしいですね。『一生』というストーリーを面白くするために、この辺に『恋愛』の章を、この辺に『冒険』の章を入れてみるか…。常に冷静に見ている執筆者か、映画監督のような感覚です。そういえば、子ども時分、劇をやる時は、自分は何かの役を希望していたにも拘わらず、気付くと演出&監督を任されていました。小規模ですが、人生の1ピースの中で既にそのような事をやっていたと言うわけです。 

話が逸れてしまいましたが、もしも人間愛がテーマ(おそらく)の『ゲゲゲの鬼太郎』の世界なら、人間嫌い妖怪の私は森の奥へ追いやられるか退治されることでしょう。人間世界はみんな仲良く平等と言いつつ、同一思考の多勢が仕切る、差別だらけの世界です。 


えーと、自分の頭の中では分析が済んだので、以上で、このテーマについては終わりです。この様な取り留めのない雑記にお付合い頂きありがとうございます。







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性別の分類と認識(2) 

【性別の分類と認識(1)(2)(3)】の内容は、人によっては偏見的で不快に感じられると思います。 
先ず、愛はセックスが全てと言う認識の方は読まないほうがよろしいでしょう。あまりお勧めしません。 


性別の分類と認識(2) 


4種類を改めて書き出しているうちにふと疑問が湧き、 
あることに気が付きました。 (性別の分類と認識(1)を参照) 
実は4種類じゃなく6種類だということに。 


どういうことかといいますと、こういうことです。(青の人形群2段目から3段目) 

3. 
(1)男性に異性愛(恋愛感情)を持つ、 
   女性の体になりたい、男性の体を持った男性。(男の肉体に女の精神です。)→の② 
(2)男性に異性愛(恋愛感情)を持つ、 
   男性の体が好きで、本人も男性の体で満足している男性。→の③ 

(1)の場合は恋愛感情を除けば、好意的に女性と接する事ができます。 
   寧ろ女性の集団の中に身を置く事に安心感さえ抱きます。 
(2)の場合は女性そのものが嗜好外であり、嫌悪すら抱く場合が少なくない。 
   つまり女性の存在そのものが受け入れられない、要は女性拒絶型です。 

つまり(1)と(2)のタイプは全く別で、男と女と言う分類と同じ位、安易に一纏めにしてはいけないのです。 



そう考えると4のケースに於いても同様な事が言えます。(赤の人形群2段目から3段目) 
4. 
(1)女性に異性愛(恋愛感情)を持つ、 
   男性の体になりたい、女性の体を持った女性。(女の肉体に男の精神です。)→の② 
(2)女性に異性愛(恋愛感情)を持つ、 
   女性の体が好きで、本人も女性の体で満足している女性。→の③ 

(1)の場合は恋愛感情を除いて、仲間意識の基で男性と行動を共にしたいと切望し 
   ています。寧ろ男性の集団の中に身を置き、一人の男性として扱われたいと望んでいます。 
(2)の場合は男性そのものが嗜好外であり、嫌悪すら抱く場合が少なくない。 
   つまり男性の存在そのものが受け入れられない、要は男性拒絶型です。 


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TITLE:性別の分類と認識(2) 


思春期の頃の興味と一緒に混在する、生身の男性への嫌悪感など(それは『白馬に乗った王子様』、『宝塚の男役』、『少女漫画の男子』への憧れと言う意識で現れる)は、この意識の成長期に現れる発芽のような現象だと思われます。通常は日常生活での異性とのふれあいの中で一般的な形に移行していくのだと思います。 
しかし4の場合、様々な要因でたまたま方向を変えずに成長してしまった因子が脳や遺伝子に組み込まれてしまい、本人の嗜好とは無関係に所持されてしまうのでしょうか。 
そう思うと、本人の選択できないところで起こるのだからどうしようもありません。 


そして更にわかったことがあります。 
上記以外に更に2種類あるということ。







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性別の分類と認識(1) 

【性別の分類と認識(1)(2)(3)】の内容は、人によっては偏見的で不快に感じられると思います。 
先ず、愛はセックスが全てと言う認識の方は読まないほうがよろしいでしょう。あまりお勧めしません。 




性別の分類と認識(1) 


どもの頃(小学校に入ってからくらい)から、男に生まれたかったと思っていました。 

女として授かったものに大分慣れ、その意識は心の奥底に仕舞い込んではいますが、 
根本にある意識はずっとずっと今も変わっていないと思います。 
ただ最近それは、子供の頃考えていたように単純に分類して既存の言葉に当て嵌めたり、 
ある一つのことに結論付けるには少々無理があるように感じるのです。 


今まで私は人間の性別は4種類だと思っていました。 
世間の殆どの人は人間は男と女の2種類だと言うでしょうし、それ以外は受け入れない人が大半でしょう。 
又受け入れる受け入れないに関係なく、2種類以外受け入れることができない人も多いでしょう。 
世の中は2種類以外を差別する人の方が多いと思います。 
しかし、「人間は男と女しかいない」というようなことを口にする人と接し、差別を耳にする度、私の心の中に不快な憤りが燻りました。 

何故なら私の頭の中では、普段人間に対して以下の分類が行われているからです。 


1.女性に異性愛(恋愛感情)を持つ、男性の体を持った男性。→の① 
  (これが世の中で一般的に男性と識別される男性) 

2.男性に異性愛(恋愛感情)を持つ、女性の体を持った女性。→の① 
  (これが世の中で一般的に女性と識別される女性) 

3.男性に異性愛(恋愛感情)を持つ、男性の体を持った男性。→の② 
  (一般的にオカマさんとかニューハーフ、近頃はオネエマンと言われる方々。) 

4.女性に異性愛(恋愛感情)を持つ、女性の体を持った女性。→の② 
  (一般的にオナベさんといわれる方と、レズビアン嗜好の方。) 



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TITLE:性別の分類と認識(1) 


4種類を改めて書き出しているうちにふと疑問が湧き、 
あることに気が付きました。 
実は4種類じゃなく6種類だということに。



 

 





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